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アオリイカのメスと女子会したい。

まっさん

2023年6月22日

〜オスの戦略2パターンを観察してみた〜

アオリイカのメスと女子会したい。

お疲れ様です!まっさんです!

春の伊東ビーチはアオリイカの産卵が盛り上がっていました!
多い時には20杯越えのアオリイカで溢れかえっており、バトルが白熱してかえって産卵がなかなか見れない日もあるほどでした!




さて、そんな中、すごくオラオラしているオスを発見しました
まるで歌舞伎町でギラギラしたネックレスをつけていそうな雰囲気。


そのオスは最終的に戦いに勝利したのですが、、、
さぁ!いざ交接!といったところで
メスが勢いよく逃げてしまったのです!

「いや、わかる、その気持ち、、、」
と私は逃げたメスに大共感。
押しが強すぎるのも誠意を感じないんだよなぁ。。


自然の摂理として
「強い=かっこいい!」
というイメージがありましたが
「なんか無理」みたいな感覚がイカちゃんにもあるのかなぁと
(勝手に)思え、そのことに感動したと同時に

「このイカちゃんと、あのオラついたオスについて女子会で語りたいなぁ」と思いました。
女子の本音が生物の垣根を超えた瞬間です。


 




そんなアオリイカのオスには
メスを射止めるための戦略が2種類あるというのはご存知でしょうか?

一つは「漢気タイプ」
体の色を変えて大きく鰭を広げてバトルをする方法です
バトルに勝利したオスがメスの輸卵管開口部(頭みたいな部分)に精子を渡します。
「アオリイカの交接」というとこのシーンをイメージする方がほとんどだと思います


もう一つは「戦略タイプ」
他のオスがいない隙にメスの口の周りに直接精子を運ぶ方法。
これは、相対的に体の小さいオスが行うことがある戦略です。
アオリイカのバトルでは圧倒的に体の大きいものが優位な傾向にあり、
相対的に体の小さなオスは「戦わずして勝つ!」という戦略を練るようです。
アオリイカのオスは1個体で両方の戦略をとるものも確認されており、相対的な体の大きさによって戦略を変えていることが報告されています。



ここまでは論文上の話。
というわけで、実際にビーチで観察してみました!!!



この日のビーチはアオリイカが20杯以上溢れかえる大繁盛の日。
中心部では、体の大きいオスが白熱したバトルを繰り広げています。
しかしながら、なかなか小さいオスが見当たりません。

そこで中心部から目を逸らしてみると、、
なんと中心部のオスに比べて比較的小さいオスがちらほらと、
戦いに巻き込まれていないメスに近づいていました!



さながら新宿駅前のナンパのよう。
数ペア観察しましたが、メスに逃げられてしまい頓挫を繰り返しています。


そしてその時は突然訪れました!
比較的小さめなオスが
ゆっくり近づいてきたと思いきや
ダイレクトにメスの口を狙って突撃してきました!

これにはメスも一瞬驚いた様子で少し後退り。
「え?誰?てか今?」といったアオリイカギャルの声が聞こえてくるようです。

とはいえ、オスとメスの距離は近かったので、お!なんやかんや成功か!と思った次の瞬間
体の大きいオスが近づいてきて
突撃してきたオスはびっっっくりするぐらいのスピードで逃げて行ってしまいました。。

いやいや、ここまで来たんならとりあえず戦っときなよ!!と思いましたが
それほど体の大きさは彼らにとってステータスなのだと感じた瞬間でした。。

今回は「戦略タイプ」の交接成功を確認できませんでしたが、
「メスの口に直接近づいていき、体の大きいオスが来たら逃げる」ことを確認しました。
また来シーズン、観察していきたいと思います!

 

〜おわりに〜
アオリイカのメスたちは2パターンの戦略についてどう思っているのでしょうか
「あーいうアプローチの仕方ないよね〜」とか
「ちょっと強引すぎるよね〜」とか
彼女達の中でも好みはあるのかしら。
夜通し語り明かせそうな気がします。
やっぱりぜひ種を超えて、女子会したい。
飲みながら聞いてみたい。
その時はイカゲソは頼まないようにする。



今回のお写真は一緒にアオリイカの産卵を観察したN様にお借りしました!
あの日の海が蘇る景色!ありがとうございました😊





参考文献
和田年史, ヤリイカ科およびコウイカ科各 3 種の繁殖行動生態
Reproductive Behavioral Ecology in Each Three Species of the Loliginid Squids and Cuttlefishes (Mollusca: Cephalopoda), 2005-12.
URL http://www.nagasaki-u.ac.jp/zaigaku/ronbun/ronbun0602/seisan_sui0602/seisan_sui74ronbun.pdf

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