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SCUBA DIVING Guide&School
DIVE FAMILY YELLOW
まっさん
2024年5月28日
キンチャクダイの求愛を観察してみた!
「うちらもう長いからさ〜」
みたいな、お互いのことをわかりきっているベテランカップルっていますよね
喧嘩もするけどもはや夫婦漫才みたいで息ぴったり
なんだか心なしか顔まで似てきたような気がする。。
さて、みなさん「キンチャクダイ」というお魚はピンときますか?
普段はすごく警戒心が強く、スッと亀裂に逃げてしまうことが多いのですが
実は伊東では4月中旬ごろから産卵期でウロウロしている姿を目撃します。(写真左の黄色に青縞のお魚)
さて、
伊東で観察する限り、
キンチャクダイは概ねペアが決まっているようで
いつも大体同じ場所にペアがいます。
オスがメスを取り合う様子はなく、すでにマッチングし終わったような状態。
本人たちも心なしか「うちらカップルです」という安定した表情に見えます。
そんな「ベテランカップル」キンチャクダイの最近の様子を今回はレポートします。
ある日巣穴の前でオスがメスをゆる〜く追いかけていました。
↑これぐらいのスピード感
しばらく追いかけるとメスは「もうええわ!」と言わんばかりに巣穴にスーーっと逃げてしまいました。
オスもそれに続いて巣穴の中に入ります。
なんとそこから二人は出てきません。
他のお魚でメスがオスから逃げる際に完全に振り切るまで逃げるシチュエーションはよくありますが、、
キンチャクダイは「さすがカップル」
お家の中に帰ればリセットされるようです。これぐらいの喧嘩では別れ話になりません。
「ごめん、機嫌なおしてー!」とお家の中で謝罪したり、オスが巣穴でご機嫌をとる時間があるのでしょうか。。
またある日、別の巣穴。またオスがメスをゆるーく追いかけていました。
メスは「うざいってば〜」と逃げて、すぐ近くの別の亀裂に移ります。
巣穴から目と鼻の先なのですが、オスは深追いせずに元の巣穴に戻ります。
まるで「もう!家出する!」と言って近所の公園に行く彼女のよう。
「いつものことだから」と言ってオスも深追いせず元のお家で待っている、そんなベテランカップルの余裕を感じました。
キンチャクダイカップルは、喧嘩しているのかと思いきや、仲良く隣り合って亀裂に挟まっていたり。離れても意外とすぐ近くにいます。
見えなくなるほど遠くに行くことはないのです。
お互いに絶妙な距離感を保って
「なーんだ、なんやかんや仲いいじゃん」となる。そんな5月のキンチャクダイカップルなのでした。
では、キンチャクダイの産卵はどうなるのか・・?
カメラマン阿部秀樹さん著「海の生き物が魅せる 愛の流儀」によると・・
オスがメスを猛追する。その間に小休止を挟みながら円を書くようにしながら激しく絡み合う。
↓
オスは並走しながら体を傾け、メスの前に回り込むような行動をとる。
↓
オスが口でメスの下腹部をつつく(ナズリング)
↓
卵膜に包まれた卵が生み出された直後に1粒1粒に分離。そこにオスが放精。
という流れだそう。
しかしながら今年まだキンチャクダイの産卵や猛追を確認しておりません。(2024.5.28段階)
まだまだゆる〜く追いかけて、メスのご機嫌を伺って、、というような状態。
こんな関係性を乗り越えてゴールインするのでしょうか。それとも潮の強さなど条件があるのか。
きっと今は産卵の前段階。
キンチャクダイのベテランカップルっぷり。これからの季節で彼らのゴールインが見れたらいいなぁと期待します。
ということで観察を続けていきます。
そして時には近所の公園でメスの愚痴を聞いてあげたいなとそんなことをふと思うのでした。
気が済んだらお家に戻ってあげてね。
(観察)
2024.4.15~2024.5.26
伊東・白根南
(参考文献)
阿部秀樹(2024). 『海の生き物が魅せる 愛の流儀』. 文一総合出版 .
(おまけ)
①家出したメス(左)取り残されたオス(右)
②深追いしないオス
③意外と近くにいるメス(すぐ上の亀裂 )
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